研究テーマ

生体機能支援を可能にする神経・機械インターフェイスの創製

脳内では、神経細胞がシナプスを介して情報を授受し、その結果として運動・感覚・認識・記憶などの制御が行われている。 ひとたびそのシナプス活動による情報交換が失われれば、機能不全に陥ることになる。脳梗塞、脳溢血や脊椎損傷などによる運動不随などの機能障害は、その例である。シナプスの仕組みは単純であるが、機能は複雑である。その仕組みを明らかにし、工学的に利用することで、喪失、あるいは低下した生体機能を支援することを可能とする神経・ 機械インターフェイスの構築が目標です。現在までに、導電性高分子とシルク素材との融合を図ることで、ウェアラブルおよび埋込が可能な電極の開発に成功しています。フレキシブルシルク電極と呼ぶこの電極は、ヘルスケア及び医療の分野において注目されており、研究会およびベンチャー企業を設立することでその普及活動を行っている。今後、この神経系と機械をつなぐ技術を利用した医療・治療分野への応用を目指している。

Ⅰ 導電性高分子修飾繊維による神経インターフェイスの構築と機能制御

フレキシブルな導電性高分子修飾繊維を用いることで、生体適合性の高いウェアラブル/埋込可能な電極素材が作製できる。本研究では、シルク糸・布を素材にし、電極化することで、意識せずに生体機能の計測ができる「さりげないバイタルセンシング」と運動制御、埋込によるインターフェイス構築を通した脳機能解析、そして医療・治療へ向けた機能制御技術として研究を進めています。

Ⅱ 神経・機械インターフェイスの構築 ~人工シナプス~

生体機能の発現には、シナプスにおける神経伝達物質の授受が重要な役割を果たしている。その結果として電気信号が変化し運動の制御につながっている。現状の電動義肢は筋表面からの筋電位を利用して運動制御を行うが、フレキシブルシルク電極では、この方法の他に、生体適合性の高さを利用して直接運動神経と人工的なシナプス結合を構成することで神経・機械インターフェイスの構築を目指している。
本電極を用いた人工義肢を含む機器制御の実現は目標の一つでもあります。