今後の展望

繊維構造を利用したシルク電気回路形成

本研究の導電性シルクはその繊維構造により抵抗値を変化させることができる。その特性を利用することで、現在は簡単な抵抗回路ではあるものの、将来的にはシルク素材だけで構成される電気回路 (シルク電気回路と呼ぶ)形成が可能となることが期待される。繊維構造は伸縮性などの構造変化が容易で、細胞足場材料(スカフォールド)としても有益であり、これらの特性を組み合わせることで、今までにないインターフェイス構成が可能となると考えている。

シルクタンパク構造と繊維力学特性の相関性

絹糸(シルク)は、セリシンとフィブロインの2種類のタンパク質からなる。セリシンは層状構造でフィブロインを取り囲むように存在し、硬くざらついた質感を有する。フィブロインは絹糸特有のしなやかさと肌触りを備え持つ。繊維の力学特性はこの2つのタンパク質構造により変化し、遺伝子操作により新たな特性を発現させている。我々は、新たな繊維特性の発現制御を目指し重力の影響 評価を行っている。

生体機能の支援

絹の特性を生かしたさりげないセンシングと解析フィードバックによる生体機能の支援の実現を目指す。
筋電や神経活動を介した生体・機械インターフェイスの実現による様々な分野への応用に期待している。